古い本棚だ。百科事典みたいに重厚な背表紙がずらっと並んでいる。膝までの手すりが飴色に光っていて、その先は大きな吹き抜けだ。六角形の部屋。そのうち4面が大きな本棚になっていて、その前に僕は立っていた。 おかしなことに気づく。 背表紙に金色で印…
僕は忘れていた。 皆川5段はその自由な指し筋でここまで上り詰めた、天才女流棋士だったことを。 前兆はあった。 タイトル戦ともなると対局中の食事も超一流である。前日までに食べたいものをリクエストすれば、ブラックサンダーから北京ダックまで準備して…
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