物語はいつも不安定

SF小説が好きすぎて

5分の一年、千年の1日

ブホォッ!vvv

今週のお題、上半期を振り返ろう、だってvvvなんじゃこりゃvvv

 

 

なに?また訳の分かんないどっかの星の電波拾ったんでしょ?

 

 

だってvvv

上半期って言ったらvvv

貴殿vvvv一瞬vvv

 

 

ねえ、それどこの星のデータ?

 

 

ちょっと松でござるvvv

ングぅ!これはvvvどうやら天の川銀河、オリオン腕郊外の星、太陽系の惑星でござるvvv

どうやらその星の生き物がこういうお題でいろんな日記みたいなのを書いてコミュニケーションしてるみたいでござるなvvv

 

 

 

ふーん。ねえ、きっとさ、振り返ろう、って言ってるくらいだからきっとその星の生命体にとってはЖクヲ包オ�っていうかさ、きっと長いんだよ。私たちの星とは違って。

 

 

 

ぷっフォvvvご名答vvv

どうやらその惑星が恒星系を一周する長さの半分が終わったみたいでござるなvvv

その間に…vvv

180回自転するようでゲスから、我々とは全く逆の惑星でござるvvv

 

 

 

えー、何それ。じゃあなに?長い1年に何日も昼と夜が来て、夏休みとか、冬休みとか、そんな感じ?

普通の恒星系はいいなあ。

 

 

 

 

ですなvvv

こっちは1日がめちゃくちゃ長くって死活問題だってのにvvv

ところで輯鐔�トリップ�氏、早くしないと夜が来るでござるよvvv

次の昼は580年経たないと来ないんだから、急がないとvvv死ぬでござる。

 

 

 

いいよ。どうせちゃんと準備したって半分は死ぬんだから。ねえ、そんなことよりさ、その星に向けてデータの送信ってできないの?受信できるんだったら送信だってできるでしょ?

 

 

 

ピグぅvvv

吾輩がvvvこの星の生命体にvvv送信するだなんてvvv

翻訳されないんだからノイズ扱いだこりゃvvv

 

 

 

わかんないよ?その星のスラング使ってもいいから意図が伝わるように翻訳プログラムもくっつけて送ればいいじゃん。できるでしょ?

 

 

 

 

ぶくフゥvvv

そりゃ貴殿vvv重罪でござるがなvvvだいたいこの電波が届いたタイミングでこの星では20万年経っとるからvvv手遅れvvvワロスワロスvvv

 

 

 

 

時間遡って送ってあげなよ。いいよどうせバレないし、あたしたちのどっちか1人は死ぬんだから、口止めはいらないよ。

 

 

 

くふぅvvv

 

 

 

ねえ、お願い。

無理なわがままだってことはわかってる。だけど、いいじゃない。私、どうしてこの星の夕暮れの時期に生まれたんだろうっていつも思って来た。なんて運が悪いんだろうって。朝生まれた個体はいいよね。最高だよ。

 

でもさ。それはもういい。まだ生き延びれるチャンスがあるだけマシ。でもねでもね、死ぬかもしれないなら、一つくらいイタズラしてたい。あなたが送ったイタズラ日記のことを考えながら、眠るの。

 

 

そうしたら、怖くないわ。

 

 

 

プフvvv

そんなvvv死ぬだなんてvvv言わないでvvv

 

 

 

早く。夜が来ちゃう。

 

 

わかったでござるvvv

やるでvvvござるvvv

 

 

 

 

天の川銀河オリオン腕太陽系第3惑星へのことづて:

名もなき日記として処理されることと思うのだがvvvあなたたちの言葉で言うウォルフ428星系からの日記を送るでござるvvv

 

この星ではあの憎っくき蟹座双子連星のワルツのおかげでおよそあなたたちの時間で言う580年の夜と580年の昼がやってくるでござるvvv

 

吾輩らの技術を持ってしても、長い夜を生き抜くためには個体が消滅死ぬるほどの節約と、少なくない技術の退歩と犠牲を払って乏しいエネルギーを次の昼に向けて温存せねばならないのだvvv

 

 

ああ、あなたたちの星が羨ましい。 

 

夕暮れの不運な時間に生まれた私と輯鐔�トリップ�氏は、一人分のエネルギーで580年間を冬眠せねばならんのだからvvv

 

 

起きた時にはひとりぽっちだ。どちらの一人かわからないのだが。

 

 

ピスピスvvv

輯鐔�トリップ�氏、できたでござるvvv

 

 

 

うん、いいじゃん。

名もない星からの悲壮な手紙感出てるよ。

 

 

 

ぷっフォvvv

どうせ嘘だと思われるでござろうvvv

 

 

君の作る翻訳プログラム次第だね。期待してる。

 

 

あのvvv

輯鐔�トリップ�氏vvv

 

 

 

 

なに?

 

 

吾輩はvvv

生きて貴殿とvvv

また会いたかったでござるvvv

 

 

 

決して忘れないだろう。輯鐔�トリップ�氏はその時本当に、最高の笑顔を見せてくれてこう言った。

 

 

 

あたしも君とまた会いたかった。こんなイタズラもっとすればよかったね。

 

 

 

おやすみ。

 

 

 

その時の美しい笑顔を見れただけで僕には十分だったから、もう悔いはなかった。

 

僕は彼女の凍結を見届けると、自分のエネルギーを全て彼女のポッドに移して、夕闇に消え入りそうな蟹座双子連星を眺めた。

 

 

 

あの連星が580年後に再びここを照らす時、彼女はとても元気な姿で起きるはずだ。

 

 

その時に誰が彼女のことを愛していたか、僕はこうして名もなき天の川銀河の隅っこの星へ送る。

 

 

ああ、この気持ちは誰かの目に止まるのだろうか。

 

 

もしも一晩ぐっすり眠って、明るい太陽と共に、愛する人と目覚めることのできる星があるのなら!!

 

 

その星に生まれた祝福された民がどうかその恵みをその価値そのままに受け取ることができますように!

 

 

僕の不幸の分までその幸せを受け取れますように!!!

 

 

 

 

いや、僕の生涯は決して不幸ではなかったはずだ。

 

 

580年後に、彼女の驚く顔を想像して僕は、

 

 

 

幸せな眠りにつくのだ。

 

今週のお題「2018年上半期」

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